こころの傷はからだに表れる 4
長年診ているうちに、胸骨の緊張がゆるむとき、からだといっしょに感情も解放されたと感じる患者かひじょうに多いことがわかってきました。
・・・そうなれば治療家が巻きこまれる心配はなくなるのです。
どうしても症状がとれないときも、ほかの医師に患者をまわすことはめったにありません。
たまにそうするときも、「その先生ならあなたの痛みをとってくれるだろう」といったたぐいの発言はしないことにしています。
・・・医師はそうした無責任な発言をすべきではありません。
治してもらうという受け身の姿勢になると、患者は治療家と対等に話せなくなり、自分を見つめることもしなくなるからです。
わたしにできるのはせいぜい
「全力をつくしたのですが、残念です。
わたしが見たところ、あなたはカウンセラーか、もしかしたら牧師と相談するといいかもしれない」
・・・ということだけです。
・・・とはいえ、せめて患者の感情生活にかんしてなにかアドバイスをしてあげたいと思うのが人情です。